嵯峨鳥居本町並み保存館
化野念仏寺から少し先には、鳥居本の伝統的な民家を見学が出来る町並み保存館がある。
建物は明治初期に建てられたもので空き家になっていたのを保存館として復活させたこのこと。昭和の鳥居本の町並みを再現した模型は必見である。
何故か化野念仏寺がない。平安時代の建立なので昭和に無いはずがないのだが…。それ以外は今とほとんど変わっていない様に見える。
最大の違いは右の山裾に愛宕山鉄道が走っていることである。驚いたことに複線電化路線になっている。架線柱まで再現しているのが凄い!
嵯峨鳥居本 上地区
化野念仏寺辺りから上地区に入る。上地区に入ると建物の建築様式に違いが出てくる。屋根が茅葺屋根になっている昔の農家が多くなってくるのである。
下地区は愛宕参りの参拝客増加により発展した門前町で、上地区は古来からあった農村地域。
鳥居本は小さな町ながら二つの異なる性格を持っており、一粒で二度おいしい町なのである。
江戸初期から営業されている鮎の宿「つたや」。始まりは愛宕参りの参拝客に甘い物を出していた茶店であった。
まさか京都近郊に茅葺屋根の建物で営業中の店があるとは思わなかった。
つたやのお隣さん平野屋。こちらも同じく江戸初期の創業。始めは茶店兼鮎問屋であった。
ここは保津川から一山越えた場所で、保津川の鮎を一晩休ませ朝一番で京都の料亭に卸していたとのこと。
現在は鮎料理屋兼茶店として営業を続けており、米粉で作った志んこ団子が名物。
つたやと平野屋の間には愛宕神社の一の鳥居があり、ここから愛宕神社への長い長い参道が始まる。
ちなみに左へ分かれる道は六丁峠を越え保津峡と繋がっている。
愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)
平野屋から先は家屋が無くなり、真横に愛宕山鉄道跡の府道137号線が近づいてきて狭い山の谷間を並走する。道が合流する辺りに愛宕念仏寺が見えてくる。
名前からして愛宕神社と関係がある寺だと思っていたら、この寺は愛宕と書いて「おたぎ」と読み、元々は東山区にあり大正にここに移築されたと解説にあった。
建立された奈良時代は、その地域を愛宕郡(おたぎごおり)といったので愛宕寺(おたぎでら)と名付けられたとのこと。紛らわしい。
鎌倉中期に再建された本堂。ここ愛宕念仏寺も化野念仏寺と同じく、本堂よりも圧倒的存在感を放っているのが…
境内中に所狭しと並んでいる石仏群である。全部で1200体の石像があり、全てに石仏らしく彫りが施されている。
ガチの仏像と違って、どの石仏も愛らしく、一体一体がユーモラスな雰囲気を持っている。と言うのもこれらの石仏は一般の参拝客が彫ったものなのである。
可愛らしい石仏群の間を通らせてもらい、先に進んだ階段の上にはボスキャラの様に金ぴかの仏像が待ち構えている。
ゴージャスな雰囲気で一番目立つところに屹立しているが、逆にありがたみを感じられない気がする。
ここでは一般客が作った石仏群こそが主役で、むしろこの虚空蔵菩薩が引き立て役にさえ思えてくる。
虚空蔵菩薩の高台から見下ろすと、石仏群が見渡す限り広がっている。
苔むした石仏もあり、新しいのより趣が増している感じがする。
整然と並んだ石仏たち。本当に一体一体が違うポーズ、違う表情をしている。
石仏以外にも見どころがあり、この中国っぽい鐘撞堂には3つも鐘がついている。鐘にはそれぞれ「仏・法・僧」の文字が刻まれている。
それぞれ音色が異なるらしく、仏・法・僧の意味合いを音色で表現しているとのこと。知らなかった。一つしか撞いてなかった。やはり下調べは大切やなー。
清滝隧道と試峠
愛宕念仏寺の手前で合流した愛宕山鉄道跡の道と愛宕街道はここでクロスし(当時は踏切があった)、左のトンネルに入るのが愛宕山鉄道跡、右の坂道を登っていくのが愛宕街道。
鉄道が開通する前は愛宕山に上るためには、試峠を越えなくてはならなかった。試峠を愛宕山だと勘違いして、まだ愛宕山にすら着いていないと知って仰天する参拝客が多くいたらしい。
清滝隧道(日本語でトンネルの意味)は一般的なトンネルに比べて小さめになってくる。と言うのも愛宕山鉄道はここで単線になっていたため、非常に狭くなっている。
そんな廃線マニアしか知らないことよりも、ここを京都人の中で屈指の知名度に押し上げていることがある
実はここは京都で一二を争う心霊スポットなのである。筆者もよく耳にしていたが、ネットで検索すると心霊スポットや最恐トンネルといった言葉が飛び交っている。
恐る恐る入口に近づき隧道内を撮影してみた。写真には特に変なものは映っていないようである。
しばらくするとトンネルの奥の方から何か気配を感じた。車ではない。恐ろしくなり愛宕念仏寺の方まで戻りトンネルを観察した。すると…
観光客と思わしき夫婦がさも平然とトンネルから出てきた。さらにしばらくすると、高校生くらいのグループがトンネル前に集まり、肝試し大会を始めた。
実は逆に有名になり過ぎて、休日は肝試ししている若者が結構いるらしいのだ。
筆者は自転車で突入したが、狭いトンネルはバスも通るので心霊よりも、後ろからバスや大型車が迫ってきていないかの方が怖かった。
トンネルを抜けるとそこは雪国でもあの世でもなく、愛宕山鉄道の終着駅、清滝駅跡に到着。今はバス停があり折り返し場となっている。清滝駅はバス停の辺りにあったらしい。
ここから先は江戸時代からの京都の避暑地、清滝に入る。今回は鳥居本の紹介なのでここで終わることにする。この先の清滝や愛宕山の記事はいつか書こうと思うのでお楽しみに。
鳥居本 全体マップ
左上の旅猫の左の→をクリックしますと、番号に対応した歴史スポットが表示されます。散策の際はご活用いただければ幸いです。
鳥居本へのアクセス
鉄道🚃
京福嵐山駅、阪急嵐山駅、JR嵯峨嵐山駅下車。京都バス92又は94系統に乗り換え。鳥居本~清滝下車。
車🚗
名神高速道路京都南インターまたは京都縦貫道大原野インター下車。約25分。
長文でしたが最後までお読みいただきありがとうございました!
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