来迎院

来迎院は比叡山延暦寺を建立した最澄の弟子、円仁が声明の修行道場として建立。円仁は唐に留学し、五台山がある太原を中心に声明を学んで帰国した。
帰国後、大原の地形が唐の太原に似ていたことから、大原を声明の修行場とした。地名も唐の太原から名付けられたと言われる。

来迎院と勝林院が大原の二大声明の修行道場となりました。これら両院と付近一帯合わせて魚山大原寺と総称されていました。

杉木立の向こうにある本堂。石垣にも苔が覆っている

かなり山深いところにあるので、雪がまだ残っていました。観光客はほとんどおらず、真冬のため虫の鳴き声は全くなく、葉擦れの音、川のせせらぎが聞こえるほどの静寂に包まれています。

来迎院も三千院と同じく、南北を呂川と律川に挟まれています。なかなか変わった川の名前ですが、声明の呂曲と律曲に因んで名付けらています。発音の調子が悪くなる呂律が回らないの語源となっています。
律川の先には音無の滝という声明の稽古をした滝があるらしいので見に行ってみます。

滝の音がしたので到着したと思ったが、何だか現代的な感じがする。

近くに案内板があった。まだ上らしい。逆にホッとした。上の写真の滝では雰囲気が違いすぎる。

真の音無の滝に到着。上から真下へ落ちてくるタイプの滝ではなく、岩肌に沿って流れ落ちる滝で大き過ぎない為、水の音がしっとりと落ちてくる感じがします。
とは言え、それなりに大きい音なので声量が小さいと声明の声が滝の音に消されてしまうでしょう。
稽古を重ねていくと、滝の音よりも大きな声量と響きが出せるようになって滝の音が消えるようになるとのこと。そこで音無の滝と名付けられたらしい。
観光客はほとんどおらず、戻る時に一人すれ違っただけでした。滝のマイナスイオンを独り占めで、癒され放題でした。
三千院近辺の癒しスポットは、これでほぼ全て訪れたので次の場所へ行きます。その途中にあるお土産物屋に寄って大原名物を見に行こう。
大原名物・しば漬け

三千院に向かう際、参道にあったしば漬け屋「志ば久」。ここで大原名物のしば漬けを買うことにした。
「帰り際に寄せてもらいます」と言ったのは、決して社交辞令ではなかったのだ。
他の店に対しては社交辞令になってしまったが、ここは京都なのでそこら辺は分かっておられるでしょう。

大原では何百年も前から紫蘇が栽培されており、品質の良さで知られています。
先に解説したように、大原では早朝に霞が立ち込めます。それ朝露となり紫蘇に水分を与え、栽培に好影響をもたらすためと言われています。

購入したしば漬け。左が茄子、右がかぶのしば漬け。しそに含まれる成分には貧血予防、精神安定作用、免疫力アップ、アンチエイジングの働きがあるとのこと。
家に帰った後も大原の癒し効果を体内に取り込む。正に癒しのフルコース。
大原の旅、最後は高野川西側の寺、平清盛の娘、平徳子(建礼門院)の隠棲の地として有名な「寂光院」に行ってこの旅を締めくくろうと思います。
高野川~寂光院

大原盆地の真ん中を流れる高野川。この辺りでは、かなり細くなっています。
朧の清水

建礼門院は壇ノ浦の戦いで敗北した一族と共に入水したが、源氏方に助けられた。
8歳の息子(安徳天皇)をはじめ、母、兄弟すべてを失うという大原に癒しに訪れた人物の中でも特に悲惨な境遇の人物であった。
建礼門院が寂光院へ向かう途中、この辺りで日が暮れ、朧月夜の中、自分の姿がこの清水に映った。そのやつれた姿を見て身の上を嘆いたという。
果たして大原は絶望しきった建礼門院の心を癒すことが出来るのでしょうか。
大原山荘 足湯カフェ
引用元:大原観光保勝会
寂光院へ行く途上に足湯カフェを発見した。足湯に浸かりながら大原名物のしそジュースが飲めるようなので、建礼門院の事は一旦忘れて、入ってみました(笑)

さっぱりしていて飲みやすく、無茶苦茶美味しかった。
しそジュースには疲労回復効果があるらしく、足湯とのダブル効果で体力は完全回復しました。今後、大原に来た時は立ち寄り必須になりそう。
寂光院

寂光院は594年に聖徳太子によって創建された尼寺。

ショックなことに、本堂は2000年(平成12年)5月9日に何者かによる放火によって焼失してしまったと案内に書かれていました。
奇跡的に本尊の地蔵菩薩像は辛うじて姿は残り、菩薩像の中にあった約3500体の胎内地蔵は無事であったそうです。本堂は5年後に再建され、地蔵尊も新たに復元されています。
堂内のには当時の状況の新聞記事などが展示されており、今回訪れて初めて知りました。
結局、2007年に時効が成立してしまい、犯人は見つからず仕舞いのままらしい。恐らくこの寺を狙っての犯行っぽいが、動機が全く想像がつかない。

本堂西側には平家物語に登場する庭園があります。平家物語で建礼門院を心配した後白河法皇が寂光院を訪ねに来るシーンで、法王は青葉がまじった遅咲きの汀(みぎわ)の桜をみて、一句詠みました。
池水に 汀の桜 散り敷きて
波の花こそ 盛りなりけり

同じ庭園にある樹齢千年以上あった姫小松。こちらも放火で燃えてしまった。

本堂西側の庭園から奥に入ったところには、建礼門院が住んでいた屋敷跡があります。案内には一丈四方(四畳半くらい)の仏間と寝所だけの屋敷に住んでいたとあった。
建礼門院は、
おもいきや 深山の奥に 住まいして
雲井の月を よそに見んとは
と寂光院に住み始めたばかりの時に詠みました。
訪ねてきた後白河法皇との雑談で、建礼門院は六道(天上、人間、阿修羅、畜生、餓鬼、地獄)の全てを見てきたと涙ながらに語る。平家物語のクライマックスである。

ある日、大原の地元の人達は失意のどん底にあった建礼門院に、昔の御所での暮らしを思い出してもらおうと、紫の紫蘇の葉の漬物を献上した。
紫は皇室の象徴である色であるため、建礼門院は大層喜び、紫葉漬けと命名された。それからしば漬けと呼ぶようになったと言われています。
それ以来、建礼門院の心に明るさが戻っていき、大原の里は絶望していた建礼門院の心を癒すほどの癒しパワーがあったのでした。
大原は住んでいる人の心も優しく、気候風土、景色、食べ物の全てが人の心を癒す温かさをもった里でした。
最後までお読みいただきありがとうございました!
鯖街道はもちろんこの先も福井県の小浜を目指して続いている。
途中の宿場町、朽木宿も風情があり、由緒ある寺院が数多く残っている町。ぜひ併せて読んでみてください。

大原 今回巡ったところマップ
左上の旅猫の左の→をクリックしますと、番号に対応した歴史スポットが表示されます。散策の際はご活用いただければ幸いです。
大原へのアクセス
バス🚌
京都駅から京都バス17系統乗車。大原下車。又は京都駅から地下鉄に乗車、終点の国際会館駅にて京都バス19系統に乗り換え。大原下車。(地下鉄経由がおススメ。京都駅からバスは京都の市街地を抜けるので、そこで渋滞する可能性大)
車🚗
名神高速道路京都南インターまたは東インター下車。約50分。


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