御塩殿神社から二見興玉神社
正式なお伊勢参りはまず二見浦で禊をして身を清めてから、伊勢神宮に向かうことになっていた。
神宮からは離れているため、二見浦への参道には多くの旅籠屋が立ち並んでおり、今もその雰囲気を残している。
多市屋
ちょうど昼時になってきたし、昼食を取ることにした。ネットで調べ、1877年(明治10年)創業の老舗和食処「多市屋」を見つけた。
伊勢の名物がセットになった、伊勢うどんとサザエの貝飯のセットを頼んだ。伊勢に来た時は毎回、伊勢うどんを食べている。
ふわふわとしたうどんの触感が関西のうどんと全然違っていてハマってしまう。貝飯は貝出汁がきいた優しい味。赤だしにはアオサが入っていて、海の町に来たって感じ。
あとお店の方が優しくて、店に置き忘れてしまった上着を知らせてくださった。ありがとうございました。
二見浦 参道
旅籠街を抜けると、石灯籠と松並木が続く参道に入る。
海側に出たところ。
松尾芭蕉の俳句。
うたがうな 潮の花も 浦の春
こちらは西行法師の短歌。西行は二見浦で6年間過ごしたらしい。
浪越すと 二見の松に 見えつるは
梢にかかる 霞なりけり
二見興玉神社
松並木の道を進むと夫婦岩で有名な二見興玉神社の鳥居が見えてくる。鳥居の先には海岸沿いの参道が続いており、倭姫命が二度見した程の絶景への期待が高まる。
二つ目の鳥居。夫婦岩の姿はまだ見えない。しかし鳥居をくぐり抜け、その先を曲がると…
カエルの向こうに小さく夫婦岩が見える。遠目に現れた夫婦岩を見て西行法師が伊勢神宮で詠んだ短歌を思い出した。
何事か おわしますかは 知らねども
かたじけなさに 涙こぼるる
伊勢神宮ではないが、本当に西行法師の感覚が理解出来た気がした。
手水舎には沢山のカエルが並んでおり、水はカエルの口から流れている。カエルは二見興玉神社の主祭神・猿田彦大神の使いであるので、神社のあちこちにカエルの置物がある。
水の中にいるカエルは願掛けカエルらしく水をかけて開運祈願すると良いとのこと。訪れた時はこの事を知らなかったのでやってなかった。目の前にある運をつかみ損ねてしまった気分。
随分と新しい本殿だと思い調べてみると、元々夫婦岩には本殿はなく、少し離れた太江寺にある興玉社が夫婦岩の鎮守社であった。1910年(明治43年)にこの場所に移ったらしい。
本殿の横を通ると、本殿の真後ろに夫婦岩が鎮座している。
遂に目の前で夫婦岩とご対面。この時は後ろの社殿と目の前の鳥居の位置関係的に夫婦岩が御神体で拝むものだと思っていた。
実はそうではなく、夫婦岩も鳥居の役割をしていて夫婦岩から700m先に興玉神石(おきたましんせき)という海中に沈んでいる石がある。この興玉神石が猿田彦大神の御神体なのである。興玉神石は元々は海上に出ていたが、幕末に発生した安政の大地震で海中に沈んでしまったそう。
起源は倭姫命が二見浦を訪れたとき、興玉神石から猿田彦大神が出現し出迎えられた。そこで倭姫命は興玉神石を拝むために、夫婦岩に注連縄を張り遥拝所を設けたのが始まり。
この時、猿田彦大神の子孫の大田命が、神宮を建立するのに五十鈴川上流の宇治をお勧めしたことで、伊勢神宮内宮の建立地が決まった。
現在は普通に参拝するだけだが、昔の人は二見浦で潮水を浴び心身を清める禊をしていたそう。
この日の夫婦岩の付近は強風で波飛沫が舞っていて、けっこう体にかかったりした。これもある意味、禊になっているのかもしれない。
次はいよいよ本番の伊勢神宮外宮に向かう。
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