伊根町歴史観光 世界で唯一の舟屋の町、伊根に隠された神秘とは 

目次

伊根浦公園

青海波から先には、小学校や中学校、商工会議所、観光案内所等が集まっていて、伊根浦の中心地区になっている。

伊根浦公園

観光案内所の向かいにある伊根浦公園。伊根湾で一番奥で狭くなったところで、両サイドの舟屋を一望できる。

防波堤やテトラポットなどの波よけが一切無く、海との距離がめちゃくちゃ近い感じ。

本当に高波などは来ないのだろうか?

公園から見える舟屋

公園の近くにも舟屋が並んでいて、海側からの舟屋の雰囲気をじっくりと見ることが出来る。

舟屋の特徴の一つが、妻入屋根(屋根がへの字になっているのが正面)になっていること

舟屋は限られた海沿いのスペースに建てる必要があるため、細長くなっている。横幅が長くなる平入屋根は不向きだった。

あと大抵、海辺の家には風が強いので雨戸が付いているが、伊根の舟屋には雨戸が付いていない家が多い。

舟屋 与楽

舟屋 与楽

2軒目の舟屋見学。舟屋与楽。1918年(大正7年)の建築。

ここも現在使用中の住居となっていて、奥はマジのプライベート空間なので、上がることは出来ない。

今まで、色んな伝統家屋を見て来たけど、大抵は人は住んでおらず、自治体が管理して公開してることが多かった。

伊根町の舟屋の様に現在使用中で、かつそれを見学可能なっているってすごい事やと思う。

昔のモノを保持し続けるって大変な事らしく、左の戸棚は今も普通に使用されており、裏側からも食器を取り出せるように改造したとのこと。

お客さんに見せる箇所と普段使いの箇所を分けるための工夫らしい。

舟屋の部分は改装されてリビングになっている。

船が必要なくなったことで、舟屋部分を改装して普段の生活空間にしている。

2階にも上がらせていただけた。

古い柱と新しい柱が混在していて、古い柱は100年以上は経っているらしい。

何軒か舟屋見学をさせて頂けたが、ここほど屋内の隅々まで見せてもらえたところはなかった。

家の方のお話も非常に興味深く、伊根町の観光のことや暮らしのことなどの聞くことが出来た。

1階のリビングから

家主さんの話で特に興味深かったのが、昔と今で、訪れる観光客の在り方が変わったというお話。

昔は飲み食いを重視する人が多かったが、最近は歴史や伝統文化に興味を持つ人が多くなってきているとのこと。特に欧米の観光客はよりその傾向が強いらしい。

これは京都に住んでいる筆者も、薄々感じていることである。その理由はよく分からないが、筆者も快楽を得る楽しみよりも、好奇心を満たす楽しみを求め続けている。後者の方が金がかからへんし(笑)

七面山

舟屋与楽から少し進むと、家並みが途切れ、切り立った岩肌が道のギリギリまで迫っていた。

昔は、山が海にまで突き出しており、道は無く山を登って向こう側に行っていた。

ただ船の移動が基本の伊根町では、特に不便ではなかったらしい。

しかし、船よりも車が優位の時代になると、山を切り取り、360度に近い急カーブの道が出来上がった。

それにしても、凄い光景!

ちなみに階段の上には神社があるみたいやけど、時間が無いのでスルーした。

崖を回り込むと、再び舟屋が復活する。

伊根の町並み 2

曲がりくねった海岸線に家が建てられ、それに沿って道も右へ左へカーブの連続。

車が2台ギリギリすれ違えるくらいの狭い道。江戸時代の道幅って感じがする

と思っていたら、それが大間違いであった。江戸明治の古い町並みに見えて、町割りも舟屋も全く別物になっていたのだ

真の舟屋の姿は、後で訪れる伊根浦資料館で見ることが出来たのでお楽しみに。

この辺りでは、舟屋とは別に白壁の蔵を持っている家を多く見かけた。

白壁の蔵を多く見かけた。防火性は高いが高価な白壁の蔵は、かなり裕福な家しか持てなかった。

これらの蔵は江戸時代からのものもあるみたい。

蔵には「水」「寶(宝)」の文字が書かれている。

他のところでも見たことがあるが、「水」には防火、「寶(宝)」には商売繁盛の祈りが込められているらしい。

ここの舟屋は、車屋になっている。交通手段の移り変わりを感じるなー。

えびすや千歳という宿屋で、宿泊施設として営業している。

カンジャガハナ灯台

伊根浦の端っこ

道沿いに行くと、隣の集落に続いていると思っていたら、伊根浦の端っこで行き止まりになっていた。

この辺りは山が海に突き出た半島で、舟屋はおろか道すら通すスペースもないほど険しい地形になっている。

ということで引き返すことにする。

カンジャガハナ灯台

少し引き返したところに灯台が建っている。

ここが伊根湾と外海を分ける場所で、海をよく見ると面白いことに気付いた。

外海側
伊根湾側

外海と伊根湾を比べると、外海の方は波打っているが、伊根湾は波があまり無いことに気付いて頂けると思う

これは、
1、伊根湾の入り口にある青島が、防波堤の役割をしている。
2、南側以外は山に囲まれていて、日本海の強風から守られている。
3、急峻な山の傾斜はそのまま海の中まで続き、湾の水深が急に深くなっている。
そのため波が非常に穏やかになっている。

舟屋には全く防波堤がないと思っていたら、島が防波堤になっていたのだ。

地図で見ると、伊根湾は日本海の港にもかかわらず湾が南向きになっていて、入り口には天の恵みの様に島が配置されている。この奇跡的な地形により、冬に荒れまくる日本海とは思えないほど、穏やかな海が年中続いている

伊根湾の地形は、潮の満ち引きにも影響を与えており、伊根湾では干潮満潮の差がたった80㎝程しか発生しないのである。

逆に日本一満ち引きが激しい九州の有明海では、6m以上の潮位があるらしい。

慈眼寺(じげんじ)

慈眼寺

カンジャガハナ灯台から少し戻ったところにある慈眼寺は、山の斜面にあって境内からの見晴らしが良いらしいので行ってみた。

城の様な石垣と白壁が立ちはだかっている。

城とは違って鉄砲狭間がないので、銃撃の心配はなく進んで行った。

慈眼寺 本堂

階段を登りきったところにある普通の家みたいな本堂。

慈眼寺は曹洞宗の寺院で、創建は1315年(正和4年)。現在の場所には1522年(大永2年)に移転してきた。

慈眼寺からの景色

寺院自体の見どころは特になかったけど、景色は本当に素晴らしい。

曲がりくねる海岸線に合わせて舟屋が並んでいる。

上から見ると、舟屋は妻入屋根、山側の家は平入屋根が多いことが分かりやすい。

1 2 3

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

この記事が気に入ったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

著者;どらきち。平安京在住の地理、歴史マニア。 畿内、及びその近辺が主な活動範囲。たまに遠出もする。ブラタモリや司馬遼太郎の「街道をゆく」みたいな旅ブログを目指して奮闘中。

コメント

コメントする

目次