小豆島・醤の里歴史観光 400年の伝統と風景が息づく醤油の町を巡る

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馬木散策路

ヤマサン醤油近辺

ヤマサン醤油から水路沿いを少し進んだところには、馬木地区で一番の映えスポットが

水路に架かる石橋、黒板塀を支える石垣、立派な長屋門に醤油蔵。目に映る全てが素晴らしい。

ただの工場地帯がこんなに風情があるってどういう事?!

400年以上に渡る醤油づくりの営為が、自然と美しさを作り出しているのかもしれない。

石橋を渡り、黒板塀に挟まれた路地を進む。

奥にある門はヤマサン醤油の創業者、塩田家住宅の長屋門。

手前右側は正金醤油のもろみ蔵となっている。もちろん、どちらも登録有形文化財になっている。

当たり前みたいに登録有形文化財になってる。重文よりはレア度が落ちるけど、それでも凄い。

馬木散策路

散策路は山に向かって進んでいて、ゆるめの坂道になっている。

山がちな小豆島では斜面部分も有効利用するために、石垣の上に建物が建てられている。

石井平治醸造所跡

真新しい感じの醤油蔵なので営業中かと思いきや、ここは廃業してしまった醸造所

石井平治醸造所は江戸時代後期の創業で、昭和中期に廃業したとのこと。

ここも醤油蔵や創業者の住宅が昔のまま残っていて、登録有形文化財になっている。

小豆島の風ギャラリー

今は醤油蔵を改装したギャラリーになっていて、中に入ることが出来る

中には衝撃的なものが!

髷貯金箱

「……?」。入った瞬間、頭の中が?だらけになってしまった。何やこれは?

説明によると、清水久和という方の作品で、下の台座は石垣を模していて、上の黒いのは切り落とされた髷であるらしい。石垣の上に断髪した髷を置くことで、武士の悔しさや無念を表現しているのだろうか。

この日は瀬戸内国際芸術祭の開催シーズンで、その期間中のみ展示されているらしい。

外にも作品が展示されていた。

オリーブのリーゼント

こっちは割と有名なので知っている人も多いかもしれない。筆者もネットで見たことがあった。

白いオリーブの実のような顔に、不良漫画に出来てきそうなリーゼントが載っている。それがオリーブ畑に忽然と置いてあるって、シュール過ぎる。

近くにはリーゼントのカツラが用意されていて、それを被って一緒に記念撮影するって楽しみ方も出来る様になっていた。

この作品は開催期間以外も常設展示されているみたい。

醤油ばっかりだと飽きてくるので、丁度いい箸休めになった。

馬木散策路

再び散策路を進んで行く。どこまで行っても黒板壁の醤油蔵があって、微かに醤油の香りが漂ってる気がする。

当時はホンマに町全体レベルで醤油工場って感じやったんやろなー。

それにしても何故、これ程の多くの醤油醸造所があるのだろうか?

元々、小豆島は塩づくりの島で、特にこの馬木地区は赤穂から多くの塩浜師(塩づくり職人)が移住してきて、製塩業を営んでいた。

実際、最初に訪れた金両醤油のご先祖は赤穂からやってきて、塩づくりをやっていたらしい。馬木地区の醤油業者はこの様な歴史を持つところが多いみたい。

小豆島で醤油づくりが始まったのは約400年前。豊臣秀吉による大阪城築城の時、石垣に使うの石を運ぶのため、小豆島と大阪との行き来が活発になった。

その際、小豆島にやってきた採石部隊が持っていたのが醬油であった。醤油の発祥は室町時代、紀州湯浅から始まったと言われており、そこから関西一円に伝わった。

醤油に興味を持った島民は湯浅まで製法を学びに行き、湯浅からも小豆島に移住する者もいて、小豆島で醤油業が始まった。

正金醤油 醤油蔵

その後、徐々に発展していき、関西では龍野と並ぶ2トップの醤油生産地になっていった。

では何故、小豆島が日本三大醤油となるまで発展したのだろうか?

それはまた、町を巡りながら後ほど明らかにしていこう。

正金醤油 醬油蔵

一棟だけ、レンガ造りの煙突がニョキっとのびている。赤レンガの煙突が明治って感じがする。

明治以降の醤油づくりには、完成した醤油を殺菌のために火入れをするようになった。そのため、明治の醬油蔵には煙突が付いていることが多い。

他の煙突がない施設は、醤油を熟成・発酵させるもろみ蔵だと思う。

正金醤油

水路沿いの道まで戻ってきた。

ここは、今までもろみ蔵だけ何度も登場していた正金醤油の本店。

正金醤油は金両醤油の創業者、藤井吉蔵の三男が、1920(大正9)年に立ち上げた醸造所。

そろそろお腹が空いてきたので、お昼ごはんを食べに行く。

瀬戸よ志

瀬戸よ志

最初に降りたバス停(安田停留所)の横にある、つくだ煮の駅 瀬戸よ志。横というよりもバス停と一体化してる感じ。

メインは佃煮屋さんだが、2階がお食事処になっている。

美味しい醤油と海産物が揃った醤の郷は、佃煮作りには絶好の場所。醤油工場と並んで佃煮工場もかなり多い。

つくだ煮の駅まであるくらいやし。っていうかつくだ煮の駅って何やろ?

ひしお丼セット

ひしお丼セットにはそうめんもセットで付いてくる。これだけで小豆島の名物をコンプリートしたようなもの。オリーブもあればより完璧やな。

魚のフライの上にかかっている黒いタレが「ひしお」。とろみのある醤油といったところ

製造過程は醤油と似ているが、発酵日数が短く、もろみを絞らないので、粒感が残っていてコクや塩味が醤油より柔らかい感じ

そうめんはコシがあり喉ごしもよくて、めっちゃ旨かった。ただ、他のご当地そうめん(龍野とか)との違いは、全く分からない。ラーメンやうどんと違って、差別化しづらいのがそうめんの弱みやなー。

特に兵庫県の龍野とは醤油とそうめんで名物がモロかぶりしてしまっている。どっちも日本三大醤油orそうめんに選ばれている。

しかし、小豆島にはオリーブ、龍野には重伝建地区の城下町があり、それぞれに違った魅力がある。ダブル小豆島名物に満足したところで、次は苗羽地区の方へ行ってみよう。

ジョルジュ・ギャラリー

ジョルジュ・ギャラリー

瀬戸よ志から苗羽地区までは、醤油蔵通りを南へ自転車で7分くらい。その途中に、瀬戸内国際芸術祭の作品の展示場があった

ここはかなり評判が良かったので、見に来たかったところ。

ジョルジュ・ギャラリー

展示場はリノベーションした古民家。2019年の芸術祭開催時にオープンし、そのまま保存されているみたい。

製作者のジョルジュ・ルースは、取壊される建物や廃墟を使った作品を作り出しているフランス人芸術家

ジョルジュ・ギャラリー

屋内に入ってみると、座敷によく分からないペイントが施されている。

これが作品なん?意味がよくわからへん。

どうやら、所定の場所から見るようになっていて、順番待ちになっていた。

ジョルジュ・ギャラリー

これは凄い!真円になってるやん。

円が奥にある様にも、手前にある様にも見えて、異世界に繋がっているみたい。

もう一度、横から見てみよう。

ジョルジュ・ギャラリー

よく見ると、円の上側にあたる欄干のところは、きれいな円になっているが、畳の部分は前に突き出たように描かれている。

奥から手前に伸びていることで、円に見える様になってるんやー。

ジョルジュ・ギャラリー

2階にも作品が展示されていた。

四角に見えないこともないけど、鑑賞する位置の問題で、きれいに写真に収めることが出来なかった。

老朽化の問題で、これ以上階段を上がれない様になっていた。

次は苗羽地区に向かい、小豆島でも一番の規模を誇るマルキン醤油に行ってみよう。

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この記事を書いた人

著者;どらきち。平安京在住の地理、歴史マニア。 畿内、及びその近辺が主な活動範囲。たまに遠出もする。ブラタモリや司馬遼太郎の「街道をゆく」みたいな旅ブログを目指して奮闘中。

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