神明社

登り窯から少し戻って坂を下りますと、常滑街道が通っています。
常滑街道は東海道の鳴海宿から知多半島の先端の南知多町を結んでいる街道。江戸時代からある街道で、陶磁器を港に運ぶために使用された超重要な道でした。
街道に大量の招き猫が運ばれていく光景は、なんかシュールで面白い。

しばらく街道を進むと、左手に社叢の森が見えてきます。
社殿は丘の上にあり、赤と緑に包まれた石段が続いている。坂を下ってきて、また長い階段を登らされるのかと、げんなりしてしまった。
鳥居の近くには犬より小さな神馬と、馬より大きな狛犬が鎮座している。狛犬は常滑焼になっています。
愛知県は常滑焼だけでなく瀬戸焼もある陶芸大国なので、陶器製の狛犬をよく見かけます。

常滑街道は神社の角で曲がり、鳥居の前を通って、再び南に向きを変えます。
おそらく、神社と街道の位置は昔から変わっていないでしょう。
変わって行く事と変わらずにいる事、その境界線を見つけるのが町巡りで一番、楽しいポイントかもしれません。

神明社は全国にある神明宮や皇大神宮と同じく、伊勢神宮を総本社とする神社。主祭神は伊勢神宮と同じく天照大御神。
創建は室町時代で、地域の氏神様として祀られてきた。
あと、筆者は見たことはないが、常滑が舞台のアニメ「泣きたい私は猫をかぶる」に神明社が登場しているとのこと。

社殿から奥に行ったところにある常滑焼の陶板で造られた古地図は必見。
海沿いを走る常滑街道の周りに町が広がっています。現在もそれは変わらず、知多半島の町は海沿いに数珠つなぎに並んでいます。
真ん中よりやや左側の街道沿いにある西宮が、この神明社だと思います。その近くの光明寺はやきもの散歩道のルート上にあるお寺ですので、後で行ってみましょう。

古地図の横には雅な感じの山車の写真が飾られていました。
毎年、4月には神明社の祭りの一つ、春の山車祭りが行われている。それぞれの字ごとに山車があり、6基の山車を町を曳き回していく。結構なスピードで山車を引っ張るスタイルで、カーブが見どころ。
そういう山車廻しって大阪の岸和田だんじり祭りだけだと思っていたが、常滑もそうだとは意外。
光明寺

やきもの散歩道に戻ってきて、再び黒板壁の陶芸工房が並ぶ路地を進んで行きます。

神明社の陶板古地図にあった光明寺の入り口がありました。しかし、門も塀もなく草がボーボーで廃寺みたいになっている。
もうなくなってしまったのだろうか。

石段を登った先の本堂は綺麗にされていました。静かですが廃寺の様な感じはありません、
曹洞宗のお寺らしく、禅が持っているビシッとした空気感に包まれていた。

石段上がってきたすぐのところには客殿があります。
お寺に関する情報がなく、詳しいことはよく分かりませんでした。
レンガの煙突

登窯を過ぎたあたりから、背の高いレンガ煙突が町の空に現れ始めます。
明治になった時、レンガ造りの技術が欧米から輸入され、レンガの煙突が常滑の陶磁器工場に取り入れられました。

特に陶管製造の最盛期であった昭和期には、300~400本の煙突が常滑の空を目がけて生えまくっていました。当時は黒い煙が常に空に立ち込めていて「常滑のスズメは黒い」と言われていたらしいです。
現在の窯は煙がほとんど排出されないガスや電気になったので、レンガ煙突はその役割を終えました。おかげで常滑のスズメは本来の色を取り戻し、空の青さを知るようになりました。
しかし、レンガ煙突には昔の常滑の歴史が詰まっていて、それがあるだけで陶芸の町って雰囲気を出しています。

技術の進歩により役目を終えた数多くの窯や煙突が取り壊されました。しかし、常滑のシンボルとして保存していく取り組みが行われています。
ここは、元陶芸工房がパン工房として生まれ変わりました。土に変わり小麦を焼いておられます。
小腹が空いたので入ってみました。

もう時刻が午後3時前だったので、ほとんどが売り切れていました。名前は忘れましたが、残っていたパンを購入しました。
レンガ造りの窯を見ながら自家製パンを食べていると、まるでこの窯で焼いた様な錯覚に陥って、旨さが倍増した気がしました(パン焼き窯にしてはデカ過ぎるけど笑)。
陶芸窯とパン工房って相性良過ぎる組み合わせ。

丘陵に広がる家並みや黒板壁の建物も常滑っぽさを表しているけど、一番、印象的なのは赤茶けたレンガ煙突。
煙の登らない煙突は積み重ねられた時間を黙って語り、その上には雲一つない青空が広がっていた。
この日は名古屋市内でネットカフェで一泊することにし、市内に戻る前に港にあるイオンモールのスーパー銭湯「マーゴの湯」に行くことにしました。
イオンモール常滑

常滑のイオンモールは現代建築では珍しく、入り口は入母屋屋根の車寄せが付いている。巨大なちょうちんも下がっていて、めちゃめちゃ和な感じになっている。
店内には常滑の旅を締めくくる置物が堂々と鎮座していた。

ちょうちんの下を通り店内に入ると、巨大招き猫「おたふく」がその巨大な手で客を招きまくっていた。
店内であるにもかかわらずなんでグラサンをかけとんねん。これは11月のブラックフライデー限定仕様らしい。アメリカかぶれか!
このエリアは招き猫ストリートと呼ばれ、色んな招き猫が店内や店外に飾られています。
今回は招き猫で始まり招き猫で締めくくった、そんな町巡りでした。
この後はスーパー銭湯であったまり、セントレア空港からの客で大混雑した名鉄で揉みくちゃされながら、名古屋市内に戻りました。
次の日は有松という名古屋市内にある重伝建地区を観光する予定です。
最後までお読みいただきありがとうございました!
常滑観光スポット Googleマップ
常滑へのアクセス
公共交通機関🚃🚌
名古屋から名鉄快速急行で約35分、常滑駅下車。招き猫ストリートまで徒歩2分。
車🚗
知多横断道路(セントレアライン)「常滑IC」から約4分

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